【ご報告】 渋谷区臨海学園の再生事業を断念し、施設を返却しました。

2023年から活動していた、渋谷区の臨海学園の再生事業SHIPを一度断念し、施設を返却しました。SHIPとしての活動は終わらせず、地域で活動を続けていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

南房企画・SHIP代表の牧野です。

このたび、こちら↓の報告で書いた通り、渋谷区富山臨海学園跡地での活動を、当施設を渋谷区へ返却することとなりました。重複する内容も多いのですが、牧野から追記も含めてこちらに書いておこうと思います。

画像

はじめて岩井海岸を訪れたのは、4年前の夏でした。美しい岩井海岸に惚れ込み、ウロウロと散策していると、防風林を抜けたそばにとても厳かな廃校がありました。看板をみると「渋谷区」と書いてあり、まさかの渋谷区の臨海学園として使われていた建物でした。

僕自身が千葉(市原・茂原)出身で「いつかは千葉のためになる仕事を」と考えていた矢先、さらに「渋谷区在住で会社も渋谷区」だったので、渋谷と千葉の架け橋になるようなこの臨海学園の再生事業を妄想し、渋谷区に問い合わせをはじめたところからこのプロジェクトがスタートしました。

2023年の3月にプロポーザルを経て選んでいただき、すぐに「南房企画」というローカル会社を立ち上げ、3名が南房総に「移住」する形で、本事業に取り組みました。

勘違いされることも多いのですが、本事業は渋谷区からの「委託事業」ではなくただの「賃貸契約」であり、設備やインフラの再生も自分たちで投資をする必要があります。大きな施設であるがゆえ、使えなくなっていた「浄化槽」を新設するだけでも数千万円単位の投資が必要となりました(浄化槽がないとトイレも使えないのです)。

2023年11月にクラウドファンディングを行い、多大なご支援をいただき、トイレや水道を復活し、グランドを活用した公園のような場としてなんとかプレオープンしました。

教室の一部を改装し、地元の牛乳を使ったカフェオレなどを提供するカフェスタンドや休憩スペース(ラウンジ)をオープン。もともとあった椰子の木を活用したラウンドテーブル、ピザ窯などのアウトドアプレイスを設置。稚拙な設備、運営ではあったかと思いますが、地元のひとや観光客にも多くの方に楽しんでいただくことができました。

近隣の人々の散歩コースにもなり、地元のイベント(ハロウィンなど)の開催や、渋谷区のボーイスカウトキャンプの受入れ、子どもたちのピザ焼き体験など行い、長年廃校だった場所が息を吹き返し再活用され、多くの人々たことは意義のある取り組みだったという実感はあります。

どのような場所だったのか、写真を置いていきます↓

画像

校舎を塗ることでイメージを刷新。DIYでできることから。

画像

最初に復旧したトイレ・シャワー設備(浄化槽設置)

画像

1Fの一部を休憩所(ラウンジ)に。エアコンも設置。

画像

とある団体のラウンジの活用の風景。

画像

もともとあった椰子の木を活かしたカウンターテーブル

画像

地元(岩井)の子どもたちを招いたハロウィンイベント

画像

子どもたちが遊びに来てくれるカフェスタンド

画像

南房総拠点の「ボケ防止バンド」の演奏会

画像

こどもたちと行うピザ焼き体験

画像

キャンプ場としての活用。渋谷区ボーイスカウトの受け入れも。

画像

つくったピザ釜を活用した料理体験会

画像

SHIPを拠点にしつつ、釣り体験や地引網もやりました

画像

等身大の青空動物写真展なんかもやりました(3月)

画像

サポーターのみなさんと一緒にDIY

画像

草刈り、草抜きもみんなで一緒に。

画像

広いグランドの除草隊であるヤギ二頭(今は三頭)


かつてこの臨海学園に通われていた方や、勤務されていた方がふらりと訪れることも多く、「思い出の学校を活用してくれてうれしい」と口を揃えて言ってくださり、それはとても嬉しいことでした。

しかし、当初の計画では「2025年の夏には宿泊施設を開業し、渋谷区民の優待をもうける」ことを目指しておりましたが、この2年間での資材や工事費の高騰などの影響や、賃貸物件であることと我々の実績不足などが重なり、資金調達が難航。諦めたくない思いも強くありましたが、「この先は別の事業者に託したがほうがこの施設のためになるかもしれない」と考え、渋谷区との協議の結果、契約の解除に至りました。

すべては代表である牧野の力不足であり、これまで関わってくれた方、この場所に期待してくれていた方々に多大なご迷惑をおかけしてしまったこと、本当に申し訳ありません。

しかし、1年間の運営を通じて、さまざまな利用方法があることを明示できたこと、訪れてくれた人たちが口を揃えて「いい場所だね」とおっしゃってくれること(実際にリピートで来てくれる方も多くいました)など、この廃校のポテンシャルを見出すきっかけにはなったのではないかと思います。また、今回我々が投資をし、新設した設備(浄化槽・給排水・椰子の木テーブルなど)は渋谷区に託すかたちになり、次の事業者にご活用いただけたらとただ願っています。

また、クラウドファンディングをご支援いただいた方々には、新たな場所でリターンを継続させてもらえればと思いますが、希望する方には返金させていただきますので、牧野までご連絡いただけたら幸いです。

さいごに。地域における活動は継続していきます。

SHIPの活動を機に、活動の拠点を渋谷から南房総・岩井に移しました。現在は週1東京:週6岩井というサイクルです。地域における仕事は、現場にいなければ意味がないと強く感じているからです。実際にこのプロジェクトを通じて、「地域で働くこと」「地域と生きること」という意味や意義を実感し、痛感しました。

いろいろな要因により渋谷区の廃校再生は断念することになり、少くない金額の損失が残りましたが、得たものも同時にたくさんあります。一番は、自分自身が東京というフィールドだけでなく、地域にコミットできるのだと実感できたこと、そして仮説であった地域の可能性に直に触れることができたことです。なので「地域における新しい仕事をつくる、という仕事」は継続していきたいと今強く思います。東京一極集中、資本史上主義とはまた別の、よりよい生き方・働き方を模索していくことを続けていこうと思います。

そんなわけで地域での取り組みは諦めず、今後も続けてきますので、もしよろしければ下記のInstagramや公式LINEにご登録をいただけたら幸いです(今後の取り組みに関して、随時報告していきます)

Instagram  |  公式LINE 

南房総・岩井に移り住んで2年ほど。夕日の沈む海岸を中心に、自然が豊かで、人々はおだやかで、余白のある空間とヤギたちに癒される毎日です。

これからも日本のローカルがもつ可能性を追求しつづけ、よりよい社会に貢献することで、応援ご支援してくださる人々への恩返しをしていきたいと思います。

画像

SHIP・南房企画
代表 牧野圭太

南房企画/SHIP
3
プレスリリース
南房総・岩井海岸で活動する企画・デザイン企業「南房企画」です。遊休資産を活用するSHIP(Social Hostel Iwai Park)を建設中です。

Other Posts

  • 南房企画(株)、立ちあげました。
    2025年09月08日
  • オリジナルジン 「After The Sea」南房総のビワと蜜蝋をつかった、華やかな香りのジン
    2025年09月08日
  • 【ご報告】 渋谷区臨海学園の再生事業を断念し、施設を返却しました。

    南房企画/SHIP

    コメント

    ログインすると
    コメントができます
      コメントはありません
    2025 © 株式会社DE